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肩関節学会40年史

第24回日本肩関節学会の開催にあたって

会長
平澤泰介

 日本肩関節学会は発足以来24年の歴史を刻みました。この間の肩関節における臨床的、基礎的研究の発展はめざましく、超音波検査、MRIなどを用いた画像診断学の進歩はもとより、肩関節鏡による鏡視下手術の発達、リハビリテーションやバイオメカニクスなどの進歩は著しいものがあります。会員数も1000名を超え、演題数も年々増加の一途をたどっており整形外科医のなかでも関心の深い分野のひとつになっております。このような伝統ある肩関節学会を担当させていただきましたことを会員の皆様に深く感謝する次第です。
 本学会では現在、肩関節の外科において最も注目されている3つのテーマ、“関節唇損傷の診断―SLAP lesionについて”、“反復性肩関節脱臼の手術療法―関節鏡視下 vs 直視下手術”、“腱板障害のリハビリテーション”を選び、シンポジウムを行います。中国からProf. Huang、フランスからDr. Gaziellyを迎え、討論に加わっていただく予定です。そして“反復性肩関節脱臼―手術適応に影響する諸因子”のテーマでワークショップも企画しました。
 また海外から3名の演者を招き、ドイツからProf. Imhoffに“The role of the capsuloligamentous structure in the unstable shoulder – a biomechanical and arthroscopical approach for stabilisation procedures”を、アメリカからProf. Wooに“New concepts on biomechanics of shoulder stability”を、オーストラリアからProf. Skirvingに“Shoulder arthroplasty – The current status! Can the problems be solved?”の招待講演を企画いたしました。できるだけ主題テーマに関連したup to dateな内容をご講演いただくようにお願いしております。
 本年も146題という多数の応募演題をいただきましたが、一会場の原則を維持し、出来る限り多くの討論時間を確保するために、昨年の幹事会での申し合わせに沿って、幹事の先生にプログラム委員をお願いし演題の採否を決定させて頂きました。その結果に従って124題を採用、22題(15%)を不採用とさせていただきました。ポスター発表に適当な内容の演題に関しては、口演演題と同様に充実した内容ばかりでしたので、ポスター会場を設けて充分な討論をしていただきます。また今回は一人一演題に絞らせていただきましたこともあわせてご了解いただきたいと思います。
 例年行われてまいりました府・市民公開講座は、昨年と同様に学会翌日の11月2日(日)に予定いたしました。当日は大学の学園祭開催中の、大学キャンパス内の図書館記念ホールで行います。“スポーツ選手の肩関節障害の予防と治療”をテーマにJohns Hopkins大学の井上望先生、昭和大学藤が丘リハビリテーション病院の筒井廣明先生、信原病院の橋本淳先生にご講演をお願いいたしました。スポーツの現場の指導者、トレーナーや選手を対象といたしましたが、多くの会員の皆様にも時間の許す限りご出席いただき、討論に参加していただきますようお願い申し上げます。会場の西側には、はぎで有名な梨木神社があり、北側は紫式部が源氏物語を執筆したという廬山寺です。
 晩秋の京都、学会場の周辺の宝ヶ池は比叡山を背景にした風光明媚な場所、地下鉄の開通により少し便利になりました。足をのばせば大原や高雄では紅葉も楽しめるかと思います。どうか本学会に多数ご参加いただき、学問とともに1200年の古都京都もお楽しみただければ幸いです。