九州大学整形外科
医局長 本村悟朗
九州大学整形外科学教室第3代教授
1995(平成7)年4月6日御逝去
天児先生は、脊髄損傷とそのリハビリテーションを含めた脊椎・脊髄外科、半月板を中心とした膝関節外科、骨系統疾患、骨軟部腫瘍や脊髄腫瘍など整形外科学全般にわたって優れた業績を挙げられました。さらに、骨誘導の研究から日本最初の同種骨移植のための骨銀行の設立を1953年に行い、骨欠損を伴う疾患の治療に大きな進歩を与えられました。日本における肩関節外科のパイオニアであられる故髙岸直人福岡大学名誉教授は、自叙伝の中で天児先生について「性格は太っ腹で私をはじめ、みんなよく大声で怒られた。怒られるのは見込みがあるのか、常連の柏木大治先生(神戸大)、前山巌先生(鳥取大)、と私の三人はみんな教授になった。」と紹介され、「九大の神中正一、天児民和両教授が、日本の整形外科学の数々の基礎をつくりあげた時のあのひたむきな、血のにじむような努力のお姿は忘れることが出来ない。」と畏敬の念を綴られています。
出典:あすなろのように生きて 髙岸直人著 慶和印刷株式会社
- 天児民和教授