安達長夫
遠藤先生とは中国四国整形外科学会・中部日本整形外科災害外科学会などにてご一緒になることが多く、先生の学会発表のスライドは毎回、毛筆の達筆で作成され、独特の声で口演されていたのが強く印象に残る。先生は大変にお忙しい方で会合には開始時間ぎりぎりに参加され、会が終了すると直ちに鳴門に帰られた。その理由は病院のこと患者の事が気に掛るためとのこと。私は病院を訪れたことがあるが、診療に熱心で妥協を許さず、朝早くから夜遅くまで働かれ、患者は無論のこと地域住民の信頼は極めて高いことに感心させられた。先生は整形外科の幅広い分野に造詣が深く、独創性のアイデアを発揮され、特に保存的治療に長けておられた。先生から私は筋ヂストロフィーデュシエンヌ型の起立歩行が困難な患者に対する下肢装具や脊損患者に対する回転ギプスなどについて教えていただいた。
学会で会う度ごとに意見を交わすとき賛同すれば「そうだ」「そうだ」と言って相槌を打ち私の肩をたたかれたことが懐かしく思い出される。また、米国のキャンベルクリニック、コロンビア大学、メイヨクリニックを7名(信原、山本、遠藤、福田、三笠、小川、安達)で研修旅行した際、驚いたことは彼は病院内外関係者の50余名から餞別を戴いたとのことで、その返しに土産を50個を用意しなければならないと腹巻に大金(?)を忍ばせていた。このことは彼が如何に多くの方々から信頼され、愛されていたかを伺い知ることが出来る。
最後に、長年にわたり学友としていっしょに語り学び得たことに感謝の念で一杯である。また、肩関節研究会の基礎を築きその発展に寄与されたことに心よりお礼申し上げる。
遠藤寿男先生有難う。