済生会長崎病院
衛藤正雄
伊藤信之先生は昭1945年1月14日にお生まれになり、1969年3月長崎大学医学部を卒業され、同年5月長崎大学医学部附属病院臨床研修医、1970年4月長崎大学医学部整形外科に入局されました。
1971年5月山口県立中央病院、1972年2月国立長崎療養所、1973年8月国立小浜病院の勤務を経て1974年2月長崎大学医学部附属病院 医員、1977年4月同 助手、1980年4月同 講師となり、1981年4月 博士号授与されておられます。1991年長崎大学医学部附属病院 助教授に、1998年6月長崎市立市民病院 整形外科診療部長になられ、その後間もなく1999年1月27日、享年54歳という若さでご逝去されました。まだお若く、肩関節の診療、研究などまだまだご指導いただきたかったのですが、大変残念でした。
1993年10月には長崎市の長崎市民会館文化ホールで開催された第20回肩関節学会の会長をされ、肩関節学会としても大変大きな損失であったと思います。学会の時の鋭い質問には演者の先生も回答に窮することもたびたびあったことが思い出されます。学問の探究に熱心な先生で、亡くなられる間際まで、研修医との勉強会を続けておられたそうです。
大学病院に勤務されておられた間は、肩のバイオメカニズムや筋電図などで多くの医局員の博士号論文の直接の指導者として頑張っておられました。
日本肩学会に関しましては、信原先生の「肩寄せあう会」からの参加者で、第20回肩関節学会会長でアジア肩関節学会設立メンバーの1人でもあります。
伊藤先生の肩関節に関する論文は多数ありますが、その一部を記載させていただきます。
博士号論文「Electromyographic Study of Shoulder Joint . J. Jpn. Orthop. Ass. 54(11), 1529-1540, 1980」、 「上肢外転運動の測定. 整形・災害外科26:1977」、「肩関節運動の筋電図学的検索. 整形・災害外科23:1980」、「随意性肩関節前方脱臼の治療. 整形・災害外科 30:1981」、「外傷性腕神経叢麻痺(引き抜き損傷)に対する肋間神経移行術の予後. 整形・災害外科 31:1983」、「肩のバイオメカニクス. 別冊整形外科 6:1984」、「動揺肩の自然経過. 関節外科 8:1989」、「肩関節不安定症とその安全化対策. 関節外科. 9:1990」、「上腕骨近位端骨折-脱臼を伴うもの-.関節外科9:1990」、「特集<Loose shoulderの病態と治療法>大胸筋移行術. 関節外科 10:1991」、「肩関節前方脱臼のメカニズム. 肩関節 15:1991」、「腱板断裂の術後成績. 日整会誌. 66:1992」、「腱板断裂例の肩峰下面の変化. 整形外科と災害外科 43:1994」、「後方不安定症のメカニズム. 関節外科 13: 1994」、「五十肩のバイオメカニクス. 整形・災害外科 37:1994」、「肩関節疾患の手術療法の現況、Bateman 法. OS NOW 15. 肩関節疾患の手術療法 14-16,:1994」、「習慣性肩関節後方脱臼、動揺性肩関節. 肩・肘関節の手術:1994」、「変形性肩関節症の治療-人工骨頭をのぞく‐. 関節外科 14: 1995」、「肩関節前下方不安定症. Monthly Orthopaedics 8:1995」、「腕神経叢引抜き損傷に対する肩再建術. 整形外科と災害外科 44:1995」、「肩関節内圧の測定. 肩関節 19:1995」、「肩甲骨関節窩、関節唇の形態(アルトロ CTによる計測). 整形外科と災害外科 44:1995」、「術後10年以上経過した腱板断裂例. 整形外科と災害外科 45:1996」、「腱板断裂例の肩甲骨上腕リズムの分析. 整形外科と災害外科 45:1996」、「小児上腕骨顆上骨折の予後. 整形外科と災害外科 46:1997」、「腱板断裂例の肩峰下面の形態. 整形外科と災害外科 46:1997」、「Ultrasonographic measurement of humeral torsion. J Shoulder Elbow Surg, 4:1995」、「The diagnosis of atraumatic shoulder instability. Surgery of the Shoulder, edited by M. Vasatmaki & P. Jalovaara. Elsevier 139-142, 1995」、「Management of multi-directional instability. Shoulder Surgery, edited by J-J. Wu et al, Veterans General Hospital, Taipei, 84-86, 1995」、「A traumatic loose shoulder. The treatment by pectoralis major muscle transfer, Ann Chir et Gynaecol 85: 139-148, 1996」
- 伊藤信行先生