日本肩関節学会50年史

河路 渡教授

河路渡先生は昭和45年から22年の間、杏林大学整形外科学教室の初代教授をお勤めになられました。学問的なご業績は幅広く多岐に亘りましたが、股関節固定術や骨切り術の長期成績に基づく股関節外科学と骨・関節感染症の治療学が大きな柱であった様です。感染症に関する先生の学識はその後に急増した外傷の治療学にも幅広く応用される事になりました。先生はご自身の学識を広く昇華させるために日本骨・関節感染症研究会を星野考教授(獨協医大)ら数人と共に設立され日本股関節研究会、日本肩関節研究会、日本骨折研究会の中心的存在として活躍される一方、日本整形外科学会の社会保険等検討委員会の委員長として学会の発展に注力されました。さらに先生は関東における新設医大の労苦を味わった仲間との交流を大切にされ、山本真先生(北里大学教授)、三好邦達先生(聖マリアンナ医科大学教授)、今井望先生(東海大学教授)との親交が厚く、4大学による学術書の共同出版をはじめ研究、学会活動について幅広く意見交換されると共に宴会、ゴルフで一息つかれていたそうです。お人柄は誰しもが口をそろえて、礼節をわきまえた温厚な信頼に足る人物と思い出を寄稿されておりました。

【御略歴】

昭和22年3月 旧制新潟高等学校理科乙類卒業
昭和26年3月 新潟医科大学卒業
昭和27年8月 新潟医科大学研究生(整形外科)
昭和29年6月 新潟大学医学部分部教官
昭和33年7月 新潟大学医学部専任講師(整形外科)
昭和42年1月 新潟大学医学部助教授(整形外科)
昭和45年9月 杏林大学医学部整形外科学教室 教授
平成元年4月から平成2年3月 杏林大学医学部付属病院副院長
平成4年4月 杏林大学医学部名誉教授
平成22年7月22日 逝去

文責:坂倉健吾 追悼記念誌などから引用

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