氏名 : 松野誠夫 北大整形外科名誉教授
物故年月日 : 平成26(2014)年12月3日
生年 : 大正12(1923)年1月5日
幹事就任年 : 昭和49(1974)年
名誉会員就任年 : 昭和61(1985)年
松野誠夫名誉会員は、北大医学部を昭和21年に卒業された後、昭和27年から3年間、米国のPresbyterian hospital of Chicago 整形外科にレジデントとして留学された。北大に帰学後、陸上自衛隊札幌地区病院の顧問医として、自衛隊員の外傷の治療に従事された。先生の興味を引いたのが、銃剣術による負傷が原因で発症した習慣性肩関節脱臼の隊員が多いことであった。先生は手術適応の症例全例に対して、米国でのレジデント中に習得したPutti-Platt 手術を施行した。全症例の執刀医は松野先生ご自身であった。
第1回肩関節研究会が開催されたのは、昭和49年である。当時の先生のPutti-Platt手術症例で、術後の経過を観察可能な症例は100例を超え、その年数は最長20年に達していた。われわれは、先生の指導のもとに、Putti-Platt手術の術後成績を色々な角度から分析して肩関節研究会で報告した。習慣性肩関節脱臼に対し一貫してPutti-Platt手術が採用され、しかも手術が同一術者によって行われたことで、われわれの分析結果は信頼性が高いものとして受け入れられた。先生は習慣性肩関節脱臼に対するPutti-Platt手術の臨床的意義に関する貴重な情報を肩関節研究会に提供された。
現在、北海道からは、有能な肩関節外科医が輩出している。先生は北海道の肩関節外科のパイオニアとして、後輩を積極的に育成された。日本肩関節学会の発展に尽くされた先生の功績は極めて大きい。
(文責 石井清一、札幌医大名誉教授)
- 松野誠夫先生