乾浩明
信原クリニック
2022年3月13日信原克哉先生が永眠されました。言うまでもなく信原先生は日本肩関節学会の礎を築かれ、第4版に及ぶ先生の著書「肩その機能と臨床」(医学書院)は肩関節外科医のバイブルとなっています。学会や著書を通して信原先生の影響を受けなかった学会員はほとんどいないのではないでしょうか。自身の病院での教育にも熱心に取り組まれ、国内に限らずアジアの国々を中心に数え切れない先生が直接指導を受けてきました。幸運にも私もその一人として仕事の仕方、学問を追求する姿勢を学ばせていただきました。読み込まれ必要に応じてメモが書き込まれた膨大な数の論文が院長室に保存されていましたが、「書かれていることはいいかげんなことが多い、患者さんの話をよく聞き観察しなさい」が口癖でした。実際の診療録は病院開設当初から連番で保管され、資料として常時参照できるように整理されていました。何事もまずは自分でしてみることが大切だとういう信念を持っておられ、医局員が行う研究に対しても口を挟まれることはなく自主的に行わなければ結局は身にならないことを教えていただきました。いつも笑顔を絶やさずユーモア溢れる語り口でされる診療は人間愛に溢れ、恐らく学会員の先生方が受けた印象そのままのものでしょう。何より嬉々として仕事される姿は本当に輝いていました。もちろん背筋が伸びて矍鑠と手術指導されていた先生も印象に残るのですが、晩年裏にあるご自宅から歩行器で病院までやってこられ、亡くなられる直前まで診療をされておられた懸命な姿勢に心打たれました。信原先生長い間お疲れ様でした。本当にありがとうございました。
- 投球スタジオのテレビ取材の際ロザンと信原病院スタッフと
- 第46回肩学会(信州)会長招宴の際畑夫妻と
- シャーカステンの前で手術指導される信原先生
- 趣味のジャズを楽しまれる信原先生