日本肩関節学会50年史に寄せて
日本肩関節学会は1974年に『肩関節研究会』として発足し、1991年から『日本肩関節学会』となり、そして2014年に一般社団法人になるとともに40周年を迎えました。この際、40周年記念のウェブサイトが公開され、世界の肩関節学会で最も長い歴史を刻んできた本学会の経緯と歴史が掲載されております。以下、一般社団法人日本肩関節学会第二代理事長の玉井和哉先生による40年史に寄せた冒頭のご挨拶の抜粋です。『この40年で、多くの先人が困難を克服しながら日本の肩関節外科を築いて来られました。しかしその努力に関連する記憶や資料は時とともに次第に失われていきます。そこでこの40周年を機に、日本の肩関節外科の歩みを将来に渡って記録に残したいと考え、このウェブサイトを設けることにいたしました。創設期から現在に至るまでの学会の変遷、国際交流、歴代の学術集会、および物故名誉会員の方々に関する資料が収められています。会員の皆様には、このサイトから日本肩関節学会のヒストリーに思いを馳せるとともに、次の10年、20年をどのように歩んでいくかを考える材料にしていただきたいと思っております。』
さて、ここで40年史以降の10年に関して振り返ってみましょう。日本肩関節学会では、2014年の一般社団法人化以降、初代理事長に井樋栄二先生、二代に玉井和哉先生、三代は柴田陽三先生、四代は池上博泰先生が2期4年、そして五代目として小生が2022年10月より理事長を務めさせて頂いております。まず40年史においてあまり触れられなかった2014年8月1日付けの一般社団法人化に関して、井樋栄二先生に詳細に解説して頂きました。この10年の大きな変化としては、なによりもまず、リバース型人工肩関節の日本への導入が挙げられます。先進国やアジアの主要国のなかでも最後の導入となったリバースですが、この10年で計り知れない程のメリットが得られているのは学会員の誰もが認めるところです。さらに、常設委員会として日本肩の運動機能研究会運営委員会を設立し、2004年に設立された肩の運動機能研究会を日本肩関節学会の傘下にするという組織編成がなされました。また2022年には用語委員会も常設委員会として新たに設立されました。その他、アジア肩関節学会のその後の発展と位置づけ、コロナ禍を挟んだ国際交流など、40年史の内容に加えてこの10年のトピックスが詳細に述べられております。学会員の皆様には、本サイトを通じて世界最古の歴史をもつ日本肩関節学会に対する理解を深めて頂き、日本および世界の肩関節外科の今後の進歩に貢献することで、新たな歴史を刻んで頂きたいと思います。
2024年8月11日
一般社団法人日本肩関節学会理事長 菅谷啓之