日本肩関節学会50年史

第14回肩関節研究会

会長
三笠元彦

第14回肩関節研究会は1987年10月31日から11月1日にかけて、東京、高田馬場、大正製薬ホールで行われた。参加者は有料:329人、無料:24人の計353人であった。主題は2つで、Loose shoulderの長期観察例の検討(座長:安達長夫先生)7演題と、Boytchev法の評価(座長:土屋先弘吉先生)7演題である。一般演題は61演題で、基礎:4、関節炎、他:4、麻痺:3、Loose shoulder:9、関節鏡:6、反復性肩関節脱臼:6、腫瘍、その他:4、外傷:5、腱板断裂:7演題であった。特別講演が、演者がPostで、講演名が「Diagnosis and Treatment of Suprascaoular Nerve Entrapment」であった。会長講演は「文献からみた肩関節外科」であった。

Boytchev法の隠れたる逸話を土屋教授が、主題の前に披露してくれました。それはBoytchev法を世界に紹介した、Conforty(イスラエル)から聞いた話として、Boytchev法はConfortyの発想であるが、Confortyが大戦中のユダヤ人迫害の中で、Boytchevに命を助けられたお礼として、Boytchevに謹呈し、Boytchev法として報告されたことを紹介してくださった。

招待/参加した外国人医師は、Post、Vastamäki、Paavolainen、Snyder、Wu、Rojvanit(以下、写真参照)であった。PostはFlightの数日前に僧帽筋の線維肉腫の摘出術を受け、未抜糸の状況で来日し、特別講演をしてくれました。Postもユダヤ人であるが、契約は必ず守るというユダヤ人魂が感じられました。Vastamäki、Paavolainenには十分な旅費を渡せなかったため、ヘルシンキから、アムステルダム、バンコック経由で来日してくれました。そのお詫びに、高級カメラをおみやげに贈りましたら、Vastamäkiが我々のhospitalityに感激して、日北欧肩関節学会を創設してくれました。

本会の記念品として、参会者に肩関節文献集(図2)が配られた。その経緯を述べると、筆者は第13回肩関節研究会の会長を仰せつかりましたが、その年、1986年は、髙岸直人教授が第3回ICSSを主催する年であったため、髙岸先生の提案で、ICSSと日本肩関節研究会を共催することとなり、筆者が次年度、第14回会長に回り、2年弱の準備期間をいただいた。この2年間が肩関節文献集の編纂を可能にしました。慶応大医学部北里図書館(東京大学医学部図書館、東京医大医学部図書館、名古屋大学医学部図書館にも)で、肩関節関係の文献が載っていると思われる、整形外科、外科、放射線科、リハビリ科関連の雑誌、各大学/各県医学会誌を1巻から渉猟して、肩関節関連の文献を拾い、パソコンに入力し、解剖、生理、画像、骨折、脱臼、変性疾患、腱板などに分類して、肩関節文献集を発刊しました。約5000件の文献が収載されています。文献集が手元に届いたのは、研究会の前日でした。

  • 左より信原先生、Dr. Post、山本先生
  • Dr. Vastamäki
  • Dr. Paavolainen
  • 肩Dr. Snyder
  • Dr. Wu
  • 左よりRojvanit、福田先生、津山先生
  • 肩関節文献集第1巻

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