日本肩関節学会50年史

第20回肩関節学会

会長
伊藤信之

1993年10月1日(金)、2日(土)に長崎市の長崎市民会館文化ホールで第20回肩関節学会が開催されました。会長は当時長崎大学整形外科助教授の伊藤信之先生(1999年1月27日 没)でした。主題はバイオメカニズムとLoose Shulderでした。初日は9時の開会の辞から始まり9時5分から一般演題が始まりました。当時はまだ1会場での発表で、初日は48演題の発表がありました。基礎研究12題、基礎研究・スポーツ6題、主題のバイオメカニズム4題、腫瘍・骨折・脱臼8題、関節唇損傷画像診断7題、関節唇鏡視下手術5題、反復性脱臼・不安定症6題でした。一般口演終了後、18時30分から長崎東急ホテル(現在ANAクラウンプラザホテル長崎グラバーヒル)で会員懇親会が行われました。翌日は9時から初めての試みのASIAN NOW(6演題、アジアの諸国の先生の発表)が行われ、その後一般演題の発表が始まり、午前中にインピンジメント症候群6題、腱板断裂5 題の発表でした。午後から36題の展示発表があり、その後 Orthopaedic Hospital Aahus Denmarkの Otto Sneppenn先生に「Unconstraind Total Shoulder Replacement Biomechanics and Complications」の特別講演をしていただきました。特別講演後にさらに後方脱臼・凍結肩6題、主題のLoose Shoulder 6題の発表があり、無事学会が終了しました。学会両日で計107演題の発表がありました。

学会終了後に土曜日であったこともあり、18時15分から20時15分まで、これも新しい試みで、ビデオやスライドを用いて検査法や術式をわかりやすく説明するといった“勉強の夕べ”が開催されました。演者は筒井廣明先生(関節鏡の基本)、原正文先生(Impingement Syndrom に対する鏡視下手術)、衛藤正雄(CTアルトロ、MRI、エコーと術中所見)、田畑四郎先生(腱板断裂の手術の適応と方法)、盛岡健先生(Bristow 変法 -特に手術手技上のこつ- )、信原克哉先生(不安定肩に対するGlenoid Osteotomy)、OTTO SNEPPEN 先生(Atraumatic Instability of the Shoulder)でした。長崎大学の主催ということで、小生もご高名な先生の中で緊張の中発表させていただいたことを覚えています。この会がイブニングセミナーの走りだったような気がします。

またこの時、信原克哉先生のご尽力でアジア12地区の代表の先生が長崎に集結され「アジア肩関節学会」が正式に発足した学会でもありました。アジアの先生方とカラオケに行って、楽しく飲み、歌いしたことを覚えています。

以上、亡くなられた伊藤信之先生に代わりまして、第20回肩関節学会についてご報告いたしました。

(文責 衛藤正雄)

  • 伊藤信之先生

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