会長
久津間智允
第21回日本関節学会を1994年10月14日、15日の2日間、甲府市の甲府市総合市民会館で開催いたしました。
さて、今学会では、主題を「麻痺肩の再建」と「腱板広範囲断裂の治療」とし、一般演題も含め演題を募集致しましたところ135題と多数の御応募を頂き、応募演題の多さにその採否については大変苦慮致しました。
1人で2題の応募をした方や、1施設で非常に多くの応募があった施設には御遠慮をお願い致しまして、一般演題を115題、主題を12題の127題を採用致しました。一般演題が115題となりましたので、2日間にわたり昼食時に展示討論を行いました。
本学会の特徴であります1会場という原則を守り、しかも十分な討論時間を確保することは、会員数の増加に伴う演題数の増加から年々困難になるものと思われます。
主題につきましては、十分な討論時間を用意致しましてシンポジウム形式とし、演題発表後に全演者に壇上に上がって頂き、それぞれの療法の適応と限界等の問題点につき十分ほりさげた討論をして頂きました。
特別講演として、New York、Columbia大学のBiglianiに「腱板外科における最近の進歩」と題して、Columbia大学の65年におよぶ長い歴史的業績をふまえ、最近のトピックスに至るまで講演して頂きました。
外人講演としては、ウィーンからDr. Enderの「上腕骨頚部骨折に対するEnder nailing」についての講演がありました。また、アジアからは、1994年11月に台北で開催されました第1回アジア肩関節学会会長のDr. Wuの講演があり、バンコクからは、Dr. Vatanachai、マニラからは、Dr. Riveraの講演がありました。
これらの特別講演および外人講演には同時通訳を用意致しました。
今学会の開催を記念し、学会員相互の連帯感を高めるため、学会のシンポルマークをあしらったネクタイビンを作製致しました。是非、皆様の御愛用をお願い致します。
さらに今学会では、都立大久保病院の三笠元彦先生の御好意により肩関節欧文版文献集第3号を発刊し、参加者の皆様に贈呈致しました。この文献集が皆様の座右の書として長く愛用されることを確信しております。
また、今年から日本・ヨーロッパ肩関節学会交換留学生制度が発足し、第1回交換留学生として秋田大学整形外科の井樋栄二先生が選ばれ、10月の約1ヶ月間にヨーロッパの6カ国、7施設にて研修を行いました。来年は、ヨーロッパから日本に留学生を受け入れることになっており、今後この両地域での肩の研究と交流が益々発展するものと期待しております。
1995年には6月から7月にかけ、ヘルシンキとコペンハーゲンで第6回国際肩関節学会が、また10月には奈良市で第22回日本肩関節学会と第4回日本・スカンジナビア肩関節学会が開催される予定です。
世界の肩関節学会の中で最も長い歴史をもち、最も会員数の多い本学会が益々発展し、国際的にも一層活躍できることを心から祈念して巻頭の言葉とさせて頂きます。