日本肩関節学会50年史

第47回日本肩関節学会学術集会を終えて

会長
末永直樹 (整形外科 北新病院 上肢人工関節・内視鏡センター センター長)

“反省と革新 - 世界へ発信する - ”というテーマで3年前からほぼ毎月1回の打ち合わせを通じて準備してきました。14人の海外の著名な肩関節外科医と参加者によるシンポジウムや講演、種々の企画など、新型コロナ感染症蔓延で多くの企画は中止となり、現地参加者の数も制限されてしまう現地参加とリモート参加によるハイブリッド開催となってしまいました。フィジカルディスタンス確保の為、会場定員の約4分の1の入場者数を想定し、現地参加者の皆様の条件を厳しく設定せざるを得ず、結局、現地参加者約190名、リモート参加者593名と通常の半数程度の参加者数となってしまいました。しかしながら、参加していただいた先生にはたくさんの質疑応答で盛り上げて頂きました。一方、感染対策をしっかりと行い、参加の先生にも感染予防にご協力いただいたため、クラスターも発生せず細かなトラブルはあったものの成功裏に終わりました。この誌面をもちまして深く御礼申し上げます。

本学会では各演題を5人の代議員の先生に査読していただき、最高点と最低点を除いて3人の先生の採点数を平均化し、2.5点以上を原則的に採用させていただきました。その結果、91%の充実した演題が採用になりました。また、第1日目夜、Failed case conferenceとして、12題の“複数回手術した人工肩関節置換術例”の症例検討を3時間に渡り行いました。反省例を発表することは非常に勇気のいることであり、一方で聴衆の先生の得るものは多大であったと思います。発表いただいた先生には深謝させていただくと共に今後の学会でも反省症例の検討が継続して行われることを期待しています。

“世界へ発信する”ということはしっかりした査読のある英文ジャーナルに論文を載せることになります。本学術集会では英文論文としてアクセプトされやすい研究手法を主題に選び、十分な質疑応答で研究の問題点を明らかにして欠点の少ない論文を仕上げて欲しいという気持ちから、抄録は1000字とし、質疑応答の時間が十分とれるようにし、また充実した進行のため2人の代議員または名誉会員の先生に座長を務めて頂きました。この学術集会の発表演題からたくさんの英文論文が世界に発信されることを願ってやみません。

末筆にはなりますが早くコロナ禍が終わり、全ての先生がワイワイと現地で参加できる日本肩関節学会学術集会が開催されることを祈念しています。

一覧に戻る