日本肩関節学会50年史

第48回日本肩関節学会・第18回日本肩の運動機能研究会を開催して

会長
岩堀裕介 (医療法人三仁会 あさひ病院 スポーツ医学・関節センター長)

日本肩関節学会会員の皆様のご協力により、2021年10月29日(金)~10月30日(土)、ウインクあいちにおいて、第48回日本肩関節学会(JSS)・第18回日本肩の運動機能研究会学術集会(JSSFR)を、COVID-19禍にありましたが、無事開催することができました。JSS会長は私、JSSFR会長は愛知医科大学病院リハビリテーション部副技師長 飯田博己先生が務めさせていただきました。

私は1989年10月に本学会に入会し、2008年11月に日本肩関節学会幹事(現代議員)に就任させていただきました。本学会は肩関節領域において世界で最も歴史がありますが、それまで東海地区で学術集会が開催されたことは無く、学術集会の開催は私や東海地区の会員にとって長年の悲願でありました。しかし、2019年から2021年の本学会の学術集会は受難続きで、2019年(会長:あづみ病院院長 畑幸彦先生、開催地:長野市)は台風19号の洪水、2020年(会長:北新病院上肢人工関節・内視鏡センター長 末永直樹先生、開催地:札幌市)はCOVID-19禍1年目の影響を大きく受けて例年通りの開催が叶いませんでした。2021年もCOVID-19禍2年目で通常開催は困難でしたのでハイブリッド開催を基本に準備を進めておりました。開催2ヶ月前の8月、大きな感染第5波に直面した際には、完全Web開催への変更も頭をよぎりました。しかし、幸運にも急速に感染状況が改善したため、予定通り現地参加者も募るハイブリッド方式で開催できました。現地プログラム終了時点での参加登録者数は1037名、オンデマンド配信終了時点での参加登録者数は、総数1325名(正会員670名、準会員274名、非会員261名、研修医1名、学生14名、招待者113名)で、そのうち現地参加者は総数524名(正会員306名、準会員100名、非会員91名、研修医1名、学生2名、招待者24名)でした。例年の参加登録者数は1500名前後でしたので、最低限の目標はクリアできたと思われます。

会長招宴は、例年、学術集会前日にその土地の特色を活かして、ホテルのパーティールームで盛大におもてなしする学術集会時の重要なイベントでしたが、第47回では中止を余儀なくされました。第48回においても、飲食を伴う会食は不可能でしたので、何とか他の形でできないか頭を悩ませました。まず会場はホテルではなく学術集会会場の大ホールを利用し、参加者は密にならないように名誉会員・代議員の参加希望者と来賓招待者+αの総勢80名程度に絞りました。プログラムは、会長2名の挨拶、来賓招待者5名のご挨拶、海外講師4名(米国2名、韓国2名)のビデオメッセージの上映、余興は発声を伴わない3名のダンサーのよるコンテンポラリーダンスの演舞とし、飲食なしで1時間程度のコンパクトなものとしました。主賓のご挨拶は、中部労災病院院長 佐藤啓二先生、名古屋大学医学部整形外科教授 今釜史郎先生、名整会会長 前田登先生、医療法人三仁会理事長 前田健博先生、日本肩関節学会理事長・東邦大学医療センター大橋病院教授 池上博泰先生からいただきました。苦肉の策でしたが、COVID-19禍での新しい会長招宴の1つのスタイルになったかと思います。

2日間の現地プログラムにおいては、2つの特別講演、1つの文化講演、1つの特別教育講演、8つのシンポジウム(JSS関連4つ、JSS・JSSFRコンバインド関連が2つ、JSSFR関連が2つ)、11の企業共催ランチョン・アフタヌーンセミナー、3つのワークショップと22の主題(JSS関連13,JSSFR関連9)が行われました。シンポジウムのうち2つは、COVID-19禍で海外講師の来日が叶わない中、国際シンポジウムとして行われ、北米5名、韓国4名の海外講師にオンライン参加いただき、プレゼンテーションと総合討論も行われました。海外講師のメンバーは、米国のThe Shoulder Center of Kentucky のW Ben Kibler先生、TMI Sports Medicine and Orthopedic Surgery のKeith Meister先生、Rothman OrthopedicsのBrandon Erickson先生、カナダのUniversity of Calgary のIan K.Y. Lo先生、韓国のSeoul National UniversityのJoo Han Oh先生、NEON Orthopaedic ClinicのJin Young Park先生、Ewha UniversityのSang Jin Shin先生、Asan Medical Center のIn-Ho Jeon先生にお願いしました。特別講演1は、私の米国留学時代の恩師であるTulane大学教授のFelix H Savoie先生にお願いし、プレゼン時には時差にも関わらずリアルタイムご自宅からWeb参加していただき、思い出話にも花が咲きました。特別講演2は、名誉会員で松戸整形外科病院顧問の黒田重史先生に第一会場の最後のプログラムでご登壇いただきました。黒田先生にとって最後の講演活動とのことで、ご家族も最前列でお見守りになり感動的な時間を共有させていただきました。文化講演の野球解説者の川上憲伸氏、特別教育講演の愛知医科大学感染症科の三鴨廣重先生にも現地参加して学術集会を盛り上げていただきました。

現地参加者の皆様には、久々に県を跨いで学術集会にリアル参加して、懐かしい会員と直接言葉をかわし、熱い討論ができて良かったと喜んでいただけました。

学術集会の開催に当たっては、出身大学である名古屋大学の整形外科膝肩班と同門の先生方、20年間働かせていただいた愛知医科大学整形外科の同門の先生方、所属先である医療法人三仁会の先生方など、多くの方々にサポートしていただきました。COVID-19禍のため、準備段階から暗中模索で、学術集会中は感染対策に神経をすり減らし、本当に苦労が絶えませんでしたが、そうした皆様のご協力のお陰をもちまして、学術集会のテーマに掲げた「プロ意識」「熱意」「思いやり」を、体現できたことは、私の忘れることができない一生の宝物になりました。

  • 特別講演1をお願いしたTulane大学教授 Felix. H. Savoie先生(左)は、深夜にも関わらず自宅からオンライン参加していただき、会場の私(右)が座長を務めました。
  • 特別講演2をお願いした名誉会員の松戸整形外科病院顧問の黒田重史先生(中央)、座長の柴田陽三先生(右)、筆者(左)
  • 現地参加いただいた文化講演の野球解説者の川上憲伸氏(右)、特別教育講演の愛知医科大学感染症科の三鴨廣重先生(左)と筆者(中央)
  • 学術集会閉会式後:学術集会サポートスタッフの皆さんと共に記念撮影

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