日本肩関節学会50年史

第50回日本肩関節学会学術集会を終えて

会長
東邦大学 医学部整形外科学講座 池上 博泰

第50回日本肩関節学会学術集会を会長池上博泰、第20回日本肩の運動機能研究会を会長松村昇先生のもと2023年10月13日(金)・14日(土)の2日間、新宿の京王プラザホテルにおいて開催させていただきました。第50回学術集会を主催できたことはこのうえない光栄であり、その重責と使命を果たした今、少し安堵しております。本学会はweb開催も含めて1700名を超える参加者となり、大きな混乱もなく無事に本会を開催できたこと、ここにあらためて会員の先生方ならびに学会運営に携わっていただきました皆様方に感謝申し上げます。
学会のテーマは“Standing on the shoulders of giants(巨人の肩の上に立つ)”としました。アイザック・ニュートンが同じ科学者であるロバート・フックへ当てた手紙の中で、(If I have seen further, it is by standing on the shoulders of giants.)と書いて有名になった言葉です。この起源は12世紀のフランスの哲学者であるシャルトルのベルナルドゥスの言葉といわれています。

  • 池上博泰会長、松村昇会長

この50年の歴史の中で先人が作り上げてきた本会の歴史を踏まえて、未来に目を向けた斬新な発想に基づく研究成果を自由に発表して討論していただける会となるように努めてきました。肩関節の治療には、リハビリテーションスタッフ、看護師との連携も極めて重要です。併設の日本肩の運動機能研究会を含め、メディカルスタッフの方々にも積極的にご参加いただき、若手整形外科医、リハビリテーションスタッフ、看護師にとってより一層魅力ある学会にしたいと考えました。

  • 特別講演 小川清久先生
  • Combined Session 1 プロ野球における医師とトレーナーの役割

第50回という節目なので、“日本肩関節学会のあゆみ”と“日本肩関節学会のダイバーシティ&インクルージョン”という座談会を2つ企画し、さらに第20回日本肩の運動機能研究会として“日本肩の運動機能研究会の歩みと今後の展望”という座談会も企画して、多くの参加者から好評価をいただきました。

みなさまのおかげで、650題の一般演題登録をいただきました。第50回日本肩関節学会の応募演題482題を1演題につき代議員3名による厳正な査読審査をお願いして、426演題を採用(採用率88%)としました。第20回日本肩の運動機能研究会としては、日本肩の運動機能研究会世話人の先生方に査読していただき、計164演題(口演112,ポスター52)を採択させていただきました。

特別講演は、名誉会員で私の師匠である小川清久先生に“日本肩関節学会50年の軌跡”というテーマで、若い会員の知らない日本肩関節学会の歴史を、多くのエピソードを混じえてご講演いただきました。日本肩関節学会と日本肩の運動機能研究会のCombined Sessionとして“プロ野球における医師とトレーナーの役割”と“凍結肩に対する理学療法とその限界”を企画し、医師だけでなく、メディカルスタッフの方々からも多くの質問やコメントをいただき、活発な討論が行われました。

  • 座談会 日本肩関節学会のあゆみ
  • 座談会 日本肩関節学会のダイバーシティ&インクルージョン

第1日目の開会式前に“肩関節周囲の骨折”に関するレビューセッションを同門の肩関節外科医の協力のもと行い、第2日目の閉会式前に特別シンポジウム“RSAが使えるようになって10年-このRSAを使う理由”を第一会場で行いました。どちらも予想以上に多くの参加者が大きな会場に集まっていただき、おかげさまで通常より多くの参加者が開会式、閉会式にも参加していただけました。

海外からは、米国フロリダ大学のProf. Thomas W. Wright先生、スイスベルン大学のProf. Matthias A. Zumstein先生、フランスパリInstitut de la MainのDr. Philippe Valenti先生、韓国ソウルSungkyunkwan大学のProf. Jae Chul Yoo先生(KSESのPresident)、韓国ソウル大学のProf. Joo Han Oh先生(KSESの前President)らが参加していただき、国際シンポジウム“~ My Worst Case ~”, ASES Session, SECEC Session, KSES Sessionでご講演をしていただきました。それぞれのSessionには、各地域のtraveling fellowも加わり、活発な討論を行なっていただきました。

  • 事務局スタッフ一同

今回は新型コロナウイルス感染症が5類になったのを契機として、ポスター発表も再開しました。久しぶりにポスター前での熱い議論も復活しました。さらに第6, 7会場は第20回日本肩の運動機能研究会専用の会場として、シンポジウム“肩疾患リハビリテーションにおける超音波の活用”、主題、一般演題の発表が行われました。また日本肩の運動機能研究会としては初めての教育研修講演も開催され、多くの若手セラピストが参加してくれました。

以上のような多くの企画を行い成功裡に終えることができたのも、それぞれの企画にご協力いただいた関係者の方々のおかげと心から感謝と御礼をあらためて申し上げます。

末筆になりましたが、第50回日本肩関節学会学術集会を主催させていただけたこと、皆さま方に感謝申し上げます。ありがとうございました。

  • 第20回日本肩の運動機能研究会の座談会後の集合写真

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