日本肩関節学会について

理事長挨拶

日本肩関節学会

理事長今井晋二

滋賀医科大学整形外科教室

2024年10月より日本肩関節学会理事長を拝命いたしました滋賀医科大学整形外科の今井でございます。日本肩関節学会が2014年に一般社団法人となって以降、初代井樋栄二理事長、第2代玉井和哉理事長、第3代柴田陽三理事長、第4代池上博泰理事長、第5代菅谷浩之理事長の後、第6代理事長を拝命する事になります。日本肩関節学会は2024年に50周年を迎え、世界で最も長い歴史を誇る伝統ある学会であります。それに合わせて50周年記念誌が公表されましたが、その歴史の重みを考えますと改めて身の引き締まる思いでございます。

日本肩関節学会は『肩関節医学の進歩普及に貢献し、もって人類の福祉に寄与する』という目的を遂行するために日本整形外科学会など国内の関連諸学会と連携し、最新医療技術・知見の教育・研究を推進してきました。日本の肩関節外科医は過去20年で大きな2つの技術革新を経験しました。1つは 2000年前後の肩関節鏡手術です。もう1つは 2014年に導入されたリバース人工肩関節置換術及びその後に増加した解剖学的人工肩関節置換術です。この2つの医療技術は現代の肩関節外科医の臨床を行う上でバックボーンとなっています。

菅谷啓之第5代理事長は肩関節鏡手術の世界的パイオニアであり、菅谷先生が理事長在任期間中には日本肩関節学会と海外の諸学会との連携が大きく進み、学会のグローバリゼーションが推進しました。日本骨折治療学会の学会会長も務められた先々代の池上博泰第4代理事長の在任期間中にはリバース人工関節の臨床応用、特に骨折への応用について日本骨折治療学会との連携のもと、大きな飛躍を遂げました。

今回、日本肩関節学会理事長を拝命するにあたり、私は2つの課題を実感じております。1つは学会の強靭化であります。コロナ禍の終焉の後、国際情勢の不安定化とアメリカでのインフレ等を経て物価が急騰しましたがこれにより日本肩関節学会の財政基盤の脆弱性が鮮明になりました。強靭化にはやはり学会員数の増加が最も重要であります。また、財政の諸事項を洗い直し健全かつ安定な財政基盤を築かなければならないと考えています。

今一つは学会の活性化であります。日本肩関節学会はすでに活性化しているとのご意見もあるかもしれませんが、他の整形外科分野では、すでに多くの疾患ガイドラインが作成されています。しかし、肩関節疾患に関するガイドラインこれまで1つも作成されていません。やはり、日本肩関節学会主導で作成できるよう環境作りが大切と考えます。

人口の高齢化は今後の我が国においては必発の状況ですが、骨粗鬆症や フレイル・ロコモに対して日本肩関節学会が関与することはこれまであまり多くはありませんでした。骨粗鬆症性上腕骨近位部骨折の診断や手術方法、その後の理学療法等を通じて高齢者医療、また介護の分野にも肩関節学会が活躍する分野が残されているように考えます。

また 女性学会員の活躍をさらに欲しい進めることにより学会員数の増加と、その活躍の場を新たに開拓していきたいと考えています。女性医師のみならず 女性の理学療法士や作業療法士の活躍の場もこれまであまり検討されてきませんでしたが新たに活性化するには、この分野での学会員の活躍の場を創出していくべきかと考えています。

このように日本肩関節学会が今後取り組んでいかなければ行かなければならない課題は山積みされており、浅学菲才の身で甚だ恐縮ではございますが、日本肩関節学会員の皆様の 少しでもお役に立てますよう粉骨砕身する所存であります。どうぞ宜しくお願い致します。

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日本肩関節学会では、肩関節に特化した専門知識の交流・情報共有の場を設けており、学術集会や学会誌などで最新の研究成果や技術情報を入手し専門家と交流することができます。 医師、研究者、医療従事者等の皆様の入会を歓迎いたします。