日本肩関節学会の取り組み

受賞報告

“Pioneer of Shoulder and Elbow Surgery”として表彰されました

髙岸 憲二

佐田病院名誉院長 群馬大学名誉教授

本学会の名誉会員の髙岸憲二先生が2023年9月5~8日にローマで開催された15th ICSES(International Congress on Shoulder and Elbow Surgery)でIBSES(International Board of Shoulder and Elbow Surgery)のPioneer in Shoulder and Elbow Surgeryとして表彰されました。表彰式の風景は15th ICSESのホームページ(https://www.icses2023.com)上でも紹介されています。
髙岸憲二先生から受賞のごあいさつをいただきましたのでご紹介させていただきます。

今年ローマで行われた15th International Congress of Shoulder and Elbow Surgery(ICSES2023)の開会式で、私は『Pioneer of Shoulder and Elbow Surgery』の一人として表彰されました。
学会が始まる前の2023年5月にIBSES理事長のDr. Osvandre Lechから以下の様なメールが届きました。
“On behalf of the IBSES(International Board of Shoulder and Elbow Surgery), I am thrilled to invite you to receive the honorary title of “PIONEER” during the 15th ICSES to be held in Rome next September 5-8, 2023 . You are a great supporter of the ICSES and the IBSES during all these years and we want to recognize this! ------------Please let me know if you are considering participate of the 15th ICSES.
ちょっと驚きましたが、今回のICSES2023には当初より参加予定でしたので『参加します。』と返信しました。
私の肩関節外科医への道は、九州大学整形外科学教室および関連病院での研修期間を終えた後に米国014vol. 21コロンビア大学でNeer教授の下で1年間visiting shoulder fellowを務めたことから始まりました。Neer教授から人工肩関節置換術など肩関節外科全般について教わるとともに多くの海外の肩関節外科医と知り合うことができました。帰国後に九大整形外科助手から北里大学整形外科助教授へ移動し、後に縁あって群馬大学整形外科へ教授として赴任しました。
コロナ感染症のために1年延期して開催されたICSESのopening ceremonyでは海外の多くの友人らと旧交を温めることができたことは大変嬉しい事でした。しかし、参加登録では3番目に多いはずの日本の整形外科医とは誰にも会えなかったことはちょっと残念でした。opening ceremonyではWalch, Castagna, Iannottiら9人と一緒に表彰されました。
世界で最も古い歴史を持つ日本肩関節学会には私より先に表彰されてもおかしくない諸先輩や同輩が多くおられます。現在の私があるのは先達の指導や同輩や後輩と一緒に仕事ができたからです。第3回国際肩関節学会髙岸直人会長、山本龍二副会長、福田宏明事務局長をはじめ、信原克哉先生ら多くの日本肩関節学会会長がおられ、IBSSやIBSESではnational delegateとして小川清久先生や玉井和哉先生らが活躍されてきました。
今まで私が肩肘関節領域で貢献できたことは、『多少の英文論文執筆』、『日本で治験することなく厚労省から最初に使用許可された手術機器であるリバース型人工肩関節の導入』、『小中学生の肩肘障害に関する全国規模の実態調査』などですが、これも日本肩関節学会および日本肘関節学会の多くの会員の皆様が一緒に仕事をしていただいたおかげです。Journal of Shoulder and Elbow SurgeryのEditor in Asiaは水野耕作先生から引き継がせていただいた後、associate editorを務めました。2013年に名古屋で行われたICSESも私と一緒に共同会長を務めた井樋栄二先生、筒井廣明事務局長をはじめ日本肩関節学会の先生方、日本肘関節学会の先生方が力を合わせて大成功の裡に終えることができました。
今回の表彰は世界の肩関節外科学の発展に寄与されてきた50年の歴史を持つ日本肩関節学会会員の皆様を代表して私がいただいたと考えています。
私が最初に参加した福岡で行われた第3回国際肩関節学会(ICSS)当時は、肩関節外科に対する論文や教科書もほとんどなく、手探りで手術を行っている時代でしたが、多くのリバース型人工肩関節置換術や鏡視下肩関節手術が行われている現在の肩関節外科の隆盛をみると隔世の感があります。今回のICSES2023において日本からの参加登録者数および発表数は世界のトップ5だったと記憶しています。
私は今後も日本の肩関節外科の進歩に少しでもお役に立てればと考えています。
日本肩関節学会の会員の皆様がますます世界の肩肘関節外科学の進歩に貢献されることを祈念しています。

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