この度、第2回国際論文奨励賞を賜り大変光栄に存じます。賞の創設にご尽力されました委員会の先生方と、論文に関してご指導いただきました末永直樹先生、大泉尚美先生はじめグループの先生方に深く感謝申し上げます。
本受賞に際しては、2019年から北海道で研修させて頂く中で、腱板断裂性関節症に対しての治療手段である腱板再建を伴う上腕骨頭置換術の術後成績・術後合併症としての肩甲骨関節窩摩耗について議論した論文、鏡視下腱板縫合術後の縫合部外側の血腫様組織に関する論文を対象とさせて頂きました。
小径骨頭と腱板再建術を用いた上腕骨頭置換術は、腱板断裂関節症の有用な治療選択肢であり、若年患者でその成績、合併症や再手術率の低さを報告させて頂きました。その合併症としての関節窩摩耗を術後長期での観察・検討を行い、摩耗の様式によって臨床成績に差が生じていること、術前の骨頭上方化が主として摩耗の進行要因である旨もまとめ、それぞれ報告しました。また、鏡視下Surface holding法において縫合部外側血腫様組織が経過とともに棘上筋腱の信号強度に近づいていたこと、そのサイズと術後構造学的結果の関連を報告させて頂きました。
恥ずかしながらそれまで英文執筆に対してほとんど知識がなく、その執筆は到底自分の力の及ぶところではありませんでしたが、本当に一から諸先生方にご指導を受け、その難しさ、楽しさ、喜びを体感させて頂きました。論文がアクセプトされたとき、また自身のものが引用されたときの喜びは英文論文を書かなければ味わえなかったものであり、貴重な経験となりました。
また、自身で執筆させて頂く中で他論文の吟味する視点が変化したこと、漠然としていた日常診療に対して治療に対する評価を、少しですがより客観的な視点で行えることになったことも自身の財産となりました。執筆にあたっては本賞が自身の大きなモチベーションとなり、もう1段落、1文の執筆の後押しになったことは間違いなく、本賞の創設にかかわってくださった諸先生方にはあらためて深謝申し上げます。
四国は日本肩関節学会の前身である肩関節研究会の第1回学術集会が1974年に遠藤寿男会長のもと開催された土地であると伺っており、四国から本賞のコンセプトでもある「世界に情報発信する」という第47回日本肩関節学会、末永先生のテーマを継承できるよう、これからも日常診療に丁寧に取り組み、よりよい治療法の考案に寄与していければと存じております。
末筆ではございますが、この度寄稿する機会をいただきました広報委員会の皆様に感謝申し上げます。
