日本肩関節学会の取り組み

学術論文

国際論文奨励賞受賞者の声

中澤 克優

大阪公立大学

このたびは、第3回国際論文奨励賞を賜り、誠にありがとうございました。このような名誉ある賞を頂けましたことは、身に余る光栄であり、深く感謝申し上げます。

私は、今回Journal of shoulder and elbow surgery(JSES)に 2本とJSES internationalに 2本、合計4本の論文を発表したことで表記の賞を受賞することが出来ました。内訳としましては、1本が低温大気圧プラズマの腱骨連結部に対する修復促進効果に関する基礎研究、残る3本はリバース型人工肩関節置換術に関する研究成果でありました。

低温大気圧プラズマですが、プラズマは活性粒子(電子、イオン、分子、ラジカル、光)の集合体であり、気体に高温加熱や電気的衝撃などの高エネルギーを加えることで分子の解離や原子の電離が生じ発生します。低温大気圧プラズマは、プラズマジェトから照射され、周囲の大気との相互作用によってイオン、ラジカル、活性酸素(ROS)や、一酸化窒素 (NO) や二酸化窒素 (NO 2 ) などの反応性窒素種(RNOS)を生成し、これらの活性種により生体組織に対する有効性があることが報告されております。今回の研究では、低温大気圧プラズマを腱骨連結部に照射することで、同部の修復が促進されることを明らかにしました。今後は、この低温大気圧プラズマの臨床応用に向けて、更なる研究を進めて参りたいと考えております。

また、リバース型人工肩関節置換術に関しては、その有用性が多く報告され、症例数は近年増加しております。一方で、いまだに多くの臨床的な課題があります。私は今回、DEXAを用いた人工関節周囲の骨密度、MRIによる三角筋断面積の測定法、そして拘束性ライナーを使用した際のROM Simulationに関する研究を報告しました。今後も、リバース型人工肩関節置換術の良好な長期成績を目指し、臨床研究に積極的に取り組んで参りたいと思います。

最後になりますが、本研究に際しご指導くださいました大阪公立大学の諸先生方に深く御礼申し上げます。今後もさらなる研鑽を重ね、このような名誉ある賞を再び頂けるよう、努力を惜しまぬ所存です。

末筆ながら、本稿執筆の機会をいただきました広報委員会の皆様に、心より感謝申し上げます。

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